LOGIN中に入ると、既に夕食の用意が整っていた。
換気扇の下で煙草を吸っている兄の智弘が、蓮司〈れんじ〉に気付き手を上げる。「ただいま」
「おかえり蓮司。ほら、ちゃんと手を洗ってね。すぐご飯だから」
テーブルに料理を並べながら、蓮司の母、昌子が声をかける。
「お義母さんお義母さん、私がしますから座っててください」
「いいのよ。いつも弘美ちゃんにばっかり働かせてるんだから、これぐらいしないと。ずっと座ってたら体もなまっちゃうし」
慌てて台所に入る弘美に、そう言って昌子が微笑む。
手を洗った蓮司は自分の席に座り、緊張気味に頭を掻いた。「だーかーらー。蓮司くん、折角手を洗ったのに髪を触ったら駄目だって、いつも弘美ちゃん言ってるよね」
弘美の口調に圧倒され、蓮司は慌ててもう一度立った。
「あ、はい、そうでした……すいません、洗い直します」
「全く。ふふっ」
もう一度洗面所に向かう蓮司を追って、恋〈レン〉もついていく。
「恋ちゃんはご飯、食べなくても大丈夫なのかな」
「麦茶も飲めたんだし、食べることも出来ると思います。だからちょっとだけ、一緒に食べられないのは寂しいですけど……大丈夫ですよ」
「だよね。ごめんね」
「いえいえ、気にしないでください」
「どうせ帰る時、馬鹿みたいにお土産持たされる筈だから。帰ってから一緒に食べよう」
「はいっ」
「それと……椅子もないんだけど」
「大丈夫ですよ。その辺ウロウロしてますから」
「いや、それはそれで僕が落ち着かないんだけど」
「ふふっ……でもよかったです。おじさんが亡くなったって聞いたから、おばさんのことが少し心配だったんです。でも智兄〈ともにい〉の奥さん、弘美さんを見てたら安心しました」
「元気の塊だからね」
「でも……蓮司さん」
「な、何かな。ちょっと目が怖いんだけど」
「弘美さんに抱き着かれて、本当は嬉しかったんじゃないですか? 胸だって私よりずっと大きいし。なんだかんだ言いながら、鼻の下も伸びてましたし」
「誤解、誤解だって」
「ふふっ。でもこっちに来て、初めてほっとしたって感じです」
「ならよかった」
「はい!」
* * *
食卓は賑やかだった。
昌子と弘美は、料理の味を確かめ合っている。
お義母さんの味付け、本当難しいです。 弘美ちゃんのご実家の味付けだって、勉強になるわ。 今度は何の料理に挑戦しようかな。 そんな他愛もない言葉を紡ぎながら、二人共笑っている。 嫁姑問題は、この家には存在しないようだった。そしてそんな空気をよそに、男二人は無言で料理を胃に詰め込んでいた。
「ふふっ」
二人の様子に恋が笑う。
智弘も蓮司も、食が細い方だった。 特に蓮司に至っては、最低限の栄養を摂取してる、そんな感じの食生活だった。 しかしそれを許すほど、弘美は甘くないようだった。 母の昌子には強気に出ていた兄弟だが、どうもこの二人、弘美には勝てないようだった。「ほら蓮司くん、野菜もちゃんと食べるんだよ」
「分かってる、分かってるから弘美さん、ボウルごと持ってこないで」
「弘〈ひろ〉くんもお肉、しっかり食べないと。夏バテしちゃうからね」
「いや、だから頼むから、詰将棋みたいに皿を前に進めないでくれ」
「そうしないと弘くん、すぐにギブアップしちゃうじゃない」
「勘弁してくれって……成長期じゃないんだから、こんなに食べられないって」
「なーに言ってるのよ。これぐらい普通よ、普通」
「弘美ちゃん、もっと言ってやって。この二人は本当、食に興味がないんだから」
「エネルギー効率がいいんだよ、俺らは」
「はいはい、屁理屈はいいからね。ほら、これも食べてよ、お義母さんの漬物」
「蓮司、あんた好きだったでしょ。あんたが今日帰って来るって言うからお母さん、用意しておいたんだからね」
「いや、だからいつも言ってるけど、好きって言ったのは小学生の頃だろ。今は別にそこまで」
「いくつになっても好きな物は変わらないでしょ。あんた、これがあったらご飯おかわりしてたじゃない」
そう言って、皿を目の前に置く。
「……なあ、兄貴」
「何も言うな。これは黒木家に生まれた俺たちの業なんだ」
「……だよね」
青い顔をしながら、兄弟が揃って漬物を頬張る。
茶碗が空になるタイミングで、昌子と弘美が手を差し出す。「はい、おかわり入れるからね」
兄弟のため息が食堂に響き渡る。
そんな二人を見て、昌子も弘美も声を上げて笑う。 恋も一緒になって笑っていた。* * *
「ごちそうさま……」
「ご、ごちそうさま……」ようやく解放された二人が箸を置き、声にならない声を上げた。
蓮司は熱々のお茶を口にし、一息つく。 智弘は食べ終わると同時に立ち上がり、換気扇の下で煙草に火をつけた。「本当、何がそんなにおいしいのかしらね」
満足気に煙を吐く智弘を見て、弘美が突っ込む。
「お腹いっぱいになったのに、肺には余裕があるんだね」
「これは女子の言うところの別腹なんだよ。それにこうして煙を入れると、パンパンになった胃に隙間が出来るような気がするんだよ」
「いつもそれ言うよね。全然分からないけど」
「分からなくて結構。これは吸った者にしか分からない感覚だから」
「でも本当、吸い過ぎには気を付けてよ」
「分かってるよ」
「弘美ちゃん、もっと言ってやって」
「ちょっとちょっと、母さんまで入って来るなよ」
「だってそうでしょ。お父さんだって何十年も吸ってたんだし。そのせいで」
「……」
昌子が声を落としてそう言うと、また始まったと蓮司が頭を掻いた。
「体に悪いのは分かってるから。だから本数も控えてるし」
「でもね、もしあんたがお父さんみたいに」
「はいはい、この話は重いし長くなるから。折角蓮司が来てるのに、今しなくてもいいだろ」
智弘が煙草を揉み消し、冷蔵庫からビールを取り出した。
「ほら蓮司」
「ありがとう」
二人が缶を持ち、「お疲れ」そう言ってビールを口にする。
そんな二人に微笑みながら、テーブルを片付けた弘美が洗い物を始める。 昌子もテーブルに着くと、弘美の淹れたお茶を口にし、頬杖をついて二人を見つめた。「本当……幸せだよね、私」
「母さん?」
しみじみと語り出した昌子に、蓮司が声を掛けた。
「お父さんが死んだ時は、本当に目の前が真っ暗になった気がしたわ。あんたたちも成人してたし、もう私の役目も終わって……早くお父さんのところに行きたい、そんな風に思ってた」
「母さん、そういうこと言うなっていつも」
「でも、弘美ちゃんが一緒に住もうって言ってくれて……私、いいお姑さんになれるかなって不安だった。でも弘美ちゃんは本当に優しくて、こんな私のことを大切にしてくれて」
「私はお義母さんのこと、大好きなんです。これからも元気でいてもらわないと」
弘美が洗い物を終え、手を拭きながら昌子の前に座る。
「嫁として受け入れてもらえて、至らない私に一つずつ教えてくれて。私は幸せな嫁です」
「智弘は子供の頃からやんちゃだったし、勉強も得意じゃなかった。こんなことでこの子、ちゃんとやっていけるのかって心配だった。
弘美ちゃんのような人に嫁いでもらって、本当によかったと思ってるわ」「ありがとうございます、お義母さん」
「あとは蓮司だよね」
その言葉に、恋の表情が曇った。
「母さん、その話は」
「あんたが恋ちゃんと、ずっと一緒ならよかったんだけど……でもあの子はあんたのことを」
「やめろってば」
蓮司が少し声を荒げ、昌子の言葉を切った。
慌てて恋を見ると、恋はしゃがみ込んだまま、膝に顔を埋めていた。翌朝。 目覚めた恋〈レン〉は蓮〈れん〉に電話し、神社で落ち合う約束をした。 腕に残る柔らかな感触。それが何なのかは分からない。 でもなぜか、温かい気持ちになった。 * * * 境内で待っている間、恋は不思議な感覚に戸惑っていた。 おかしな夢を見た気がする。 蓮くんと二人で、未来の自分たちに会っていた夢だ。 そこで未来の私たちは、おかしな雰囲気になっていて…… 断片的に、そこであった出来事が脳裏に蘇ってくる。 いっぱい泣いた気がする。蓮くんも泣いていた。 未来の私たちも泣いていた。 ただ一番最後の記憶、一番強く残っている記憶では、みんなが笑っていた。 その笑顔を思い出すと、幸せな気持ちになった。「ま、いっか」 夢だろうと現実だろうと、みんなが笑顔になれたんだ。 だったらそれでいい、十分だ。 真夏の空を見上げてそうつぶやくと、鳥居の方角から蓮の声が聞こえた。「ごめん恋、遅れちゃった」「蓮くんおはよう。私もさっき来たところ。大丈夫だよ」 息を切らせて走ってきた蓮。 恋は微笑み、ハンカチで蓮の汗を拭った。 * * *「昨日、変な夢を見たんだ」「え? 蓮くんも?」「も、ってことは、恋も?」「うん。おかしな夢だったの。でもね、夢にしてはリアルな感じで……本当に経験してきたみたいで」「僕もそんな感じなんだ。僕たちがね、未来の自分たちに会いに行って」「ええっ! 蓮くんもその夢見たの?」「恋もなのかい?」「……何だろうこれ……ああ怖い怖い、変な夢だっただけでも変なのに、蓮くんも同じ夢を見てたなんて」「僕たち、夢の中で意識がリンクしてたのかな」
「それで、お二人はこれからどうするんですか?」 恋〈レン〉の言葉に、花恋〈かれん〉が少し寂しげな表情を浮かべた。「これでお別れ、ってことかな」「はい……私は、と言うか私たちは、お二人の笑顔が見たくてこの世界にやってきたんです。これからどんな未来に辿り着くのか、それは分かりません。でも私は、今の笑顔を見れただけで満足です。今、最高の気分です」「僕も……未来の自分に会えたことで、自分の中にあったモヤモヤが少し消えた感じです。その……感謝してます」「僕もだよ、蓮〈れん〉くん。君に会えて僕も、昔の自分との誓いを思い出せた。君にとって今の僕は、決して誇れる人間じゃないと思う。だからこれから、君に安心してもらえる大人になれるよう、頑張るよ」「大丈夫よ蓮くん。ちゃんと私が見張ってるから」 花恋が笑顔を向けると、蓮は照れくさそうにうつむき、うなずいた。「元々は幸せな未来を見て、二人を冷やかしながら楽しく過ごすつもりでした。でも、想像してたのと全然違う未来になってて、お二人は幸せと言えない状況になってました。 私の目的は変わりました。何が何でも二人に笑顔になってもらいたい、それまで帰れないって」「元に戻った訳じゃないけど、恋ちゃんが望んでいた未来に近付いた。そういう意味では、これからが本来の目的になってもいいと思う。今からのんびり、私たちとこの時間を楽しんでも」 もう少し、この奇跡の時間を共有したい。そんな思いを胸に、花恋が恋を見つめる。「確かにそうなんですけど、でも……どう言ったらいいのかな。一仕事を終えて満足したって言うか」「ミッション・コンプリートだよね」 蓮の言葉に恋が笑顔でうなずく。「この時代に、私は必要以上に干渉しました。だから……この最高の状態で、私が本来いるべき世界に戻った方がいいような気がするんです」「そっか。やっぱ恋ちゃん、私だね。その決断、すご
「蓮司〈れんじ〉さん、花恋〈かれん〉さん。お互いに言いたいこと、全部言えたでしょうか」 そう言って笑顔を向ける恋〈レン〉に、蓮司も花恋も苦笑した。「そうね。細かいことを言えばキリがないけど、それなりにはすっきりしたかな」「強いて言えば」「蓮司、まだ何かあるの?」「あ、ごめん……そうだね、折角まとまりかけてたんだ。今のはなしで」「ちょっとちょっとー、そんな風に言われたら気になるじゃない。いいわよ別に、今更どんな話が出ても驚かないから。遠慮せずに言いなさいよ」「いや、でも」「いーいーかーらー、言いなさいってば」「痛い痛い、分かった、分かったからつねらないで」「よし、ではどうぞ」「花恋が、その……これ見よがしにゲップしたり、お尻を掻いたりするの……ちょっと控えてくれたら嬉しいなって」「なっ……!」 花恋が顔を真っ赤にしてうなった。「いや、別にいいんだよ。それくらいリラックスしてくれてるってことなんだから。ただほんと、ちょっと、ちょっとでいいんだ。僕にとって花恋は、何より大切な女の子なんだし」「……」 花恋が両手で顔を覆う。そしてしばらくすると、恥ずかしさのあまり声を上げて身をよじらせた。「あ、あはははっ……あのですね、蓮司さん。そのことなんですけど、実は理由〈わけ〉がありまして」 恋がそう言って、蓮司に説明する。「……なるほど、そういうことだったんだ。大丈夫だよ花恋。僕は女性、と言うか花恋のこと、人形だなんて思ってないから。そんなに恥ずかしそうにして、ははっ。無理してたんだね、ごめん」「ううっ……しばらく蓮司の顔、ちゃんと見れないよ……」「でもまあ確かに、お互い
うなだれる恋〈レン〉と花恋〈かれん〉。そんな二人に苦笑し、蓮司〈れんじ〉は頭を掻いた。「僕の決断、花恋にとっては受け入れがたいものだったと思う。でも僕は、夢から逃げる口実に君を使った訳じゃない。そういう風に感じさせてしまったのは想定外だけど、でも僕にとって、花恋の幸せ以上に大切なものなんてなかったんだ。それは信じてほしい」「……うん、信じる」「ありがとう。それと、僕もやっとすっきりしたよ。あの時の花恋、とにかく不機嫌オーラ全開だったから。何をそんなに怒ってるんだろうって、ずっと気になってたんだ」「何であなたってば、そんな……」「ごめんね。長い時間、こんなことで苦しませてしまって」 蓮司の言葉に、花恋は更に肩を震わせた。「それとさっき言った、花恋の期待が重かったという話。出来れば気にしないでほしい。僕にとってそのこと自体、決して嫌なことではなかったから。正直にってことだから話したけど、花恋にそこまで好きになってもらえる物語を書けて、僕は嬉しいんだ」「……ありがとう」「蓮〈れん〉くんもごめんね。本当ならこんな話、まだ恋ちゃんに聞かれたくなかっただろう」「いえ……僕も少しだけ、気持ちが楽になった気がします」「恋ちゃんはどうかな」「私は……蓮くんの物語が好きで、ただそれを応援したかっただけなんです」「だよね。君は本当に僕たちの物語、大切に思ってくれてた。僕たちにとって唯一の、最高の読者だったんだから」「でも、それが負担になっていたんだったら」「読者の期待は作者にとって、励みにもなれば重荷にもなる。そういう意味では、受け止めきれない僕たちにこそ問題があるのかもしれない」「そんなこと……私はただ、夢を語ってる時の蓮くんが好きで」「ありがとう。それでね、恋ちゃん、それに花恋。君たちの質問には答えたけど、この話には
「蓮司〈れんじ〉さん。あと一つ聞きたいことがあるんですけど、いいでしょうか」「改まって言われると、ちょっと構えてしまうね。それに恋〈レン〉ちゃん、ちょっとだけ顔が怖いよ」「執筆をやめた理由、もう一度聞かせてください」 恋の言葉に、花恋〈かれん〉も真顔になって蓮司を見る。「蓮司、それは私も聞きたかった。あの時あなたは言った。私との未来の為に夢を諦めるって」「そうだね、そう言った」 穏やかに笑みを浮かべ、蓮〈れん〉に視線を向ける。「でも……この話は蓮くん、言っても構わないのかな」 その言葉に、蓮の肩がピクリと動いた。「蓮司さん、それってどういう」「僕たちも昨日ね、色々語り合ったんだ。そして当然、この話題にもなった。 今恋ちゃんが尋ねたこと。それはね、蓮くんの今後の活動にも影響するかもしれないんだ」「そうなの? 私が言ってること、また蓮くんを巻き込んだ暴走なの?」「蓮くんが拒むなら、僕の口から言うことは出来ない。これはね、恋ちゃん。彼の大切な夢なんだ。彼が望まないなら、その日まで待った方がいいと思う」「蓮くん……」「いいですよ、蓮司さん」「本当にいいのかい?」「はい……確かに作家になるのが僕の夢です。断念する未来が来ると分かっていても、今の僕にはまだ諦められません。 ただ、未来の自分に会うなんて奇跡が起こって……きっとこれは僕にとっても、意味のあることなんだと思います。だから今ここで、恋にも知ってもらおうと思います。そうすることで、僕も新しい一歩を踏み出せるような、そんな気がするんです」「分かった。じゃあ答えるね」 蓮司が静かにうなずいた。「花恋との未来の為、夢を諦める。そう言ったのは本心だよ」「どうしてそんなことを」「言葉のままだよ。さっきも言った通り、僕には花恋を幸せにす
「ある時、花恋〈かれん〉に対する感謝の気持ちに、違う感情が混じってることに気付いた。花恋のことを考えるとドキドキする。手を握りたい、唇に指で触れたい。髪に顔を埋めたい、抱き締めたい……そんな気持ちが大きくなっていたんだ」 淡々と語る蓮司〈れんじ〉の言葉に、花恋と恋〈レン〉が顔を真っ赤にした。「そして思った。僕は花恋のことを、一人の女性として意識してるんだって。そうだよね、蓮〈れん〉くん」 そう蓮に投げかけると、蓮も恥ずかしそうにうつむき、小さくうなずいた。「自分の人生全てを捧げても返しきれない、それくらい花恋に恩を感じてる。それなのに僕は、そんな恩人に邪な気持ちを抱いていた。いかがわしい欲望を抱いていたんだ。それは許されることじゃない」「もういい、分かったから……ちょっと待って」 耳まで赤くした花恋が、そう言って蓮司の言葉を遮った。「いくら正直にって言っても、生々しすぎるわよ。何でもう、あなたって人は……いつも無口な癖に、話し出したら止まらないんだから」「ごめんよ。でも、これが本心なんだ」「それにしてもよ。そこまで恥ずかしい告白なんて、別にしなくていいの」「これでもかなり抑えてるんだけど」「それでも駄目。目の前には思春期の子供もいるんだからね」「……そうだった。ははっ、二人共ごめんね」 穏やかに笑った蓮司に、落ち着かない様子で恋がうなずく。「僕は花恋のことが好きだった。でもそれは、花恋にとっては迷惑な話だ。花恋にだって選ぶ権利があるし、何よりこんないい子なんだ、世の男共だって放っておかない筈だ、そう思ってた。 なのに花恋は幼馴染という理由だけで、僕から離れずにいてくれた。その鎖を断ち切ってあげたくて、僕は自分の気持ちを花恋に伝えた。 それなのに、何がどうなってか分からないけど、僕の告白は受け入れてもらえた。僕より遥かにスペックの高い大橋くんを振って、花恋は僕のことを好きだと言って







